「裏同心ルンゼ」アイスクライミング with ブラックダイヤモンド『ハイドラ』
12月16日(火)八ヶ岳は裏同心ルンゼに行ってきました!
クライミング館のナカヤです。
早く冬にならないかなぁと、春からずーっと楽しみにしていたアイスクライミング。
アイス未経験の初心者を連れ、八ケ岳1人気と言われるマルチピッチアイスクライミングルートの裏同心ルンゼへ。
今回の目的はアイス初めの身体慣らしもありますが、
なんと言ってもあの Black Diamond(ブラックダイヤモンド) から11月に発売した新しいアイスアックス!
「ハイドラ」を試すこと!!!
昨シーズンまではノミ○クを使用していたのですが、後悔するのではないかという若干の不安を抱えながらも泣く泣く友人にドナドナし…ハイドラに買い替えちゃいました💦
使用してみた感想は、
後悔は一切なしで「本当に買ってよかった!」。
特にまだ技術に自信の無い方やゲレンデ用のアイスアックスを持ってない方に是非検討してもらいたい素晴らしいギアでした。
それでは、今回のルートの詳細やハイドラに買い換えた経緯、そして実際に使用して感じたアレコレについて以下より詳しくまとめていきたいと思います。
ルートに関してはオールリードだったため画像少な目でスミマセン。
裏同心ルンゼ
今回は赤岳山荘から北沢を歩いて赤岳鉱泉、硫黄岳方面へ向かって2本目の沢筋“裏同心ルンゼ”をつめ上がり5つの連続する小滝を登って大同心稜を下りるルート。
最後の滝の後に小同心クラックというマルチピッチクライミングルートを繋げることも出来るのですが、今回は初心者を連れているということもあり、欲張るのは辞めました。
赤岳鉱泉までは雪も多く凍ってる箇所もあり、チェーンスパイクがあると便利です。
赤岳鉱泉から裏同心ルンゼの一つ目の滝(これ以降F1、F2と略)までは20分程ということもあり赤岳鉱泉でアイゼンやギア類の準備を整え、いざ出発!
硫黄岳へ向かう登山道を進み1本目の沢筋が大同心ルンゼで、下山時に通る予定のルート。
2本目の沢筋が裏同心ルンゼでここを登ります。
F1〜F5と小ぶりなからバリエーション豊富な小滝が連続します。
どれもしっかりと凍っており、ルートを選べば氷が薄い箇所や脆そうで心配な箇所も少ないかと思います。
F1支点あり。
F2の2段目・4段目に支点がありましたが、知らなかったので3段繋げて登ってしまいナチュラルアンカーでビレイしました。
F3は灌木を利用してのビレイ。
F4のナメ滝は支点なし(多分)。
ここは時間を巻くためフリーで登ってしまいます。
F5が1番立っていて、こんもりした氷塊を2m1段登り、左にトラバースしたあと水がちょろちょろ氷の下を流れる傾斜の緩やかな岩壁沿いを上がりました。
緊張感と高揚感を味わいながら、あっという間に終わってしまったと感じる楽しく美しいルートでした。
買い換えに至るまでの経緯
冒頭でも以前はノミ○クを使用していたと書きましたが、これ自体に何の文句も問題もなく愛用しておりました。
ではなぜ今回買い替えることにしたのか、
少し見た目が似ているハイドラが登場し軽く振ってみると、ヘッドのスイングバランスが良く「これは刺さる。」と直感的に確信したからです。
スペックを見てもノミ○クよりハイドラの方が1本あたり25g重い610g。
リーシュは石突に付けたい派なので別売りの「I.C.E.アルパインスパイク」に付け替えると1本あたり+16g。
あわよくばアルパインでも使いたい私は、ハイドラに付属している「I.C.E.ライトヘッドスペーサー」に付け替えることで1本あたり-70gのダイエットができる!
つまり、ノミ○クより2g軽い583gとして使用可能であるという事まで調べてわかりました。
とはいえ、まだそこまでアイスの経験が豊富でない私。
実際にフィールドで使用してみないとわからないじゃないか、という自分に対する疑念も少なからずありました。
しかーし、今のアックスを手放さないとハイドラを買うための資金が。。。
正直な話、最後の決め手はもうルックスです(笑)
まだほとんど出回ってない最新ギアであり、人と被らない。
そして、ブラックにグリーンの差し色が個人的に好き♡
そんな訳で、今回私は買い替えに踏み切りました。
長くなりましたが、ここまでがハイドラに買い替えた経緯です。
お読みいただいた皆様、お付き合いいただきありがとうございましたm( _ _ )m
「ハイドラ」を実際に使用してみて
まず、今回使用した環境は気温も低く氷がかなり締まっておりました。
付属の「I.C.E.マイクロスパイク」から「 I.C.E.アルパインスパイク 」に付け替え、ウェイトはダイエットせずにそのまま「I.C.E.ヘビーヘッドスペーサー」で使用しました。
硬い氷にアックスを刺すには適度なパワーを要し、安定しないスタンスで大振りすると刺したい箇所にブレて刺さらないのが普通です。
しかしながらこのハイドラ、手首を返すスナップだけで刺さる。
単にヘッドが重いからではなく、シャフトのほぼ真上にウェイトがあり、シャフトがしなるように氷に向かってピックを押し出すような刺さり方をしてくれる。
しかもピックの着地点が左右、上下方向にブレるようなことも少なく狙ったところに刺さってくれる印象。
筋力に自信のない私には大変ありがたいポイントでした!
むしろ力を入れすぎると氷が割れるので氷にグリップレストをできるだけ近づけて手首をスナップするだけが理想かと思います。
これまで店頭での接客は「迷うならノミ○クを」というスタンスでありましたが、ハイドラの発売により私のそのスタンスだけはブレました。
ハイドラのデメリットとして、アルパインでの使用も考えるなら「I.C.E.アルパインスパイク」は必須かと思われます。
発売前に付けてくれるようお願いはしてみましたが、本国の意向とのことで願いかなわず。。。(笑)
元々の石突き I.C.E.マイクロスパイク だけでも4mm以下の細引きを輪っか状に通してリーシュを取り付ける穴が用意されているとのことですが、石突きとして使うには小さくて心許ないと感じました。
まとめると、
重量はオプションを購入せずとも軽量化が可能であり、狙い通りのポイントにより刺さりやすいハイドラ。
価格はノミ○クとほぼ同じで、オプションパーツの石突きを追加すると割高にはなりますが一考の余地ありといったところ。
ノミ○クの牙城を崩す可能性のある素晴らしい製品が誕生したというのは、クライミング界にとって良いことなのではないでしょうか。
あまりにもあからさまに比較のようになってしまいペツ○さんには恐縮ですが、どっちの方がいいという事ではなく!
どっちのギアが自分には合いそうなのか、このブログを読んでいただいて検討していただければ幸いです。
BlackDiamond ハイドラ
通常価格¥46,200(税込)
BD独自のI.C.E.(インテグレーテッド・コンポーネント・エクスチェンジ)システムを搭載。自在にカスタマイズでき、ピュアアイスからテクニカルアルパイン、ミックスクライミングまで幅広いアイスクライミングに対応するアイスツール。水圧により加工されたハイドロフォームシャフトは人間工学に基づいて設計され、ハングしたアイスフォールからミックスでのフッキングまで、強傾斜でのシビアなアイスクライミングに対応します。
ご一読いただいたお礼と言っては何ですが、12月16日時点の赤岳鉱泉アイスキャンディの写真を添付しておきます。
オープンが待ち遠しいですね♪
PROFILE
クライミング館 中屋 | Nakaya
クライミングギア、シューズのお悩みお伺いいたします!
高校時代に山岳部に所属し、登山に魅了されて早十余年。
気づけば夏はクライミングに沢登り、冬はアルパインにアイスクライミング等々。
フィールドにて得た経験や知識から、お客様ひとりひとりに合ったアイテムをご提案いたします!