マルチピッチクライミング~男山ダイレクト~

通販部マツダです。
8月最終日、久しぶりにマルチピッチクライミングに行ってきました。

同行者の意向に付き合う形で、
目標のルートは信濃川上にある「男山ダイレクト」というルート。

小川山にクライミングに行くときに車で走っていて、
野辺山付近から見えている山で、

あのあたりにも登れるルートがあったら面白いだろうな~
なんて考えていましたが、
やっぱりルートがあったんですね。

5~6年前に開拓されたばかりの比較的新しいルートらしく、
あんまり情報が無い分、なかなか興味深い。

で、いざアプローチ道の入り口まで行ってみるのですが、
如何せん情報がないものですから、
そもそもどこから山に入っていいのかがわからない・・・

一般登山道があるにはあるのですが、
そこからではなく、
ショートカットできる入山ポイントがあるということで、
そちらから行こうとしたのですが・・・

車で草ぼうぼうの林道を入ったり出たり、
迷いに迷って右往左往・・・

結局よくわからないままに、
「このあたりからかな?」という感覚で
適当に入山。

手持ちにはスマホに入っているGPSアプリがあるので、
現在位置は地形図上で正確に把握できます。

だから地形図が読めて、ログを取ってさえいれば
元の場所にも下山できるので道に迷うことはありません。
便利な世の中になったものですね。

・・・とはいえ、登山道では決してない、
地元の林業関係者や猟師の人達しか踏みこんでいないであろう
道なき山域の視界が利かない樹林帯を、

背丈以上の蔓草の薮や湿地帯、
急傾斜で足元からどんどん崩れる危険なザレ場、
木の根が張りだした急な尾根等、

人がほとんど入らない「未知の道なき山」を
岩を求めて登るということがこんなに不安なものだとは。。

しかも今回は出発前日にいきなり決まった山だったので、
自分では事前知識は全くなく、下調べをする時間もなかったので、
完全なオンサイト(初見)でした。

しかし、その場その場での判断に全ての身の安全を委ねている状況で、
来し方を振り返りつつ、現在地を把握しながら、方向や距離を予測し、
歩みを進めてゆくことには、ある種の充実感もありました。

今回の核心はまさにこのアプローチの途上にあったといえるでしょう。

 

結局は無事、
目的の岩の基部を探し当て、
到着することができましたので、
登攀も楽しむことができました。

01

1ピッチ目取り付き(第一岩稜・Ⅲ級)

02

1ピッチ目終了点(第一岩稜・Ⅲ級)

03

2ピッチ目(第二岩稜・Ⅲ級)

04

振り返ればヤツ(八ヶ岳)がいる。

05

南方向には瑞牆山(右の突起は大ヤスリ岩)

06

2ピッチ目後半(第二岩稜・Ⅲ級)

07

3ピッチ目(第三岩稜・Ⅳ級+)

08

第三岩稜終了点にてフォローをビレイ

09

頂上直下の岩稜をコンテでゆく

10

男らしさ全開の男山山頂(笑)

11

東に天狗岩を臨む。結構大きそうな壁。

 

 

クライミング自体は、Ⅲ級~Ⅳ級程度で難しくなく、
全4ピッチの快適なルートでした。

ただし浮き石が多くて岩も全体的に脆いので、
ホールドやスタンスを拾う際は細心の注意が必要です。

「男山ダイレクト」という名のとおり、
頂上に直接突き上げる岩壁ルートは、景色の大きく開けた岩壁で、
振り返れば雄大な八ヶ岳連峰と野辺山高原が眼下いっぱいに広がり、
さわやかな高原の風を感じながらの気持ち良いクライミングとなりました。

下山は明瞭な一般登山道を下りますが、
私たちは外れた場所に車を置いていたので、
途中から道なき道をショートカットします。

12

これもまた、トゲだらけで腕にあたるたびにチクチクする薮を通過して、
生い茂る草で足元がみえない湿地帯を靴をびしょびしょにしながら歩き、
木漏れ日のなか小川の渡渉を経て、
ザレザレの怖い急斜面をよじ登り、
やっとの思いで無事、車に到着・・・

行動時間約5時間半。
ひさしぶりの登山でしたが、
体力的には適度に疲れられて、
気持ちのよい一日でした。

 

マルチピッチクライミングやアルパインクライミングは、
単に壁をクライミングすることのみを楽しみとするのではなく、

壁に至るまでの「未知なる山林のアプローチ」こそが
核心(=全行程でもっとも難しく大変)となる場合も多く、

これを単なる苦痛や苦労とせず、

誰も入ったことのない山を開拓し、探検するかのような楽しみとすることで、
山行まるごとが充実感をもたらしてくれます。

 

【持参ギア】
60m シングルロープ ×1
ATC(ペツル・ルベルソ) ×1
環付カラビナ ×2
ソウンスリング120cm ×2
アルパインクイックドロー60cm ×2
クイックドロー ×2

【男山ダイレクトルートについて】
※節理がほとんどないのでカム類は使えません
※支点は残置ハーケンのみ、ランナウトするので要注意
※各ピッチのビレイ点は木の幹が使えます

お問い合わせ先

さかいやスポーツ

東京神田神保町に店を構えて70年。多くのアウトドア好きに愛される「登山・アウトドア用品の専門店」。登山・キャンプ・トレイルランニング・クライミング等、多くのアウトドア用品と専門知識を持つスタッフがお客様のご来店をお待ちしております。

店舗案内をみる 

この記事をシェアする