トラブル連発!?「南沢大滝」アイスクライミング

クライミング館の中屋です。

1月10日(月)に山岳会の仲間と4人で八ヶ岳の南沢大滝にアイスクライミングへ行ってきました!

この日は日曜の夜に仲間の車で美濃戸山荘まで入りました。飛び石連休の中日ということもあり八ヶ岳山荘には30台以上の車と美濃戸山荘には15台程の車が泊まっていました。平日はいつもガラガラなのであまりの人の多さにビックリです。

朝目が覚めると気温は-18℃。飲みかけの缶コーヒーはカッチカチに凍る程の極寒でした。幸いにも天気は概ね良好で、雲の流れを見るに上空は風があるようでしたが美濃戸山荘から南沢大滝までは無風でした。

美濃戸山荘から行者小屋まで向かう柳川南沢の中間あたりに位置する南沢大滝。美濃戸山荘から約1時間歩いて、分岐から支流の沢筋を上がって15分と至便。八ヶ岳には何度も来ておりますが、南沢大滝は今回初めてです。バーチカル(垂直)なアイスが練習出来るとあって緊張と高揚感が高まります。

支流に入ってすぐのところに南沢小滝が見えましたが、この時点でもう「こんなに立ってるの!?」と怯み気味な私。さらに難易度の高いと言われる南沢大滝は登れるのかと不安になりました。

しかも、ここまでの道中で珍しく大先輩のお姉様が体調が悪いと言い、寒さや荷物の重さなのか原因が分からず心配していました。

南沢大滝に着くと、駐車場にあんなに車が止まっていたにもかかわらず誰もいません。そしてこの日はなんと、1日中ほかに誰も来ず貸切状態でした。みんな「南沢大滝は絶対に混むから他へ行こう!」とどこか別の場所へ行ったのでしょうか?

さて登るのですが、正直私はリードで行く自信がありません。

ここは仲間にお願いして安全にロープを張ってもらおうと考えました。
しかしながら南沢大滝、一筋縄では行きません。仲間も硬い氷にスクリューが刺さりにくく、思うように登れず悪戦苦闘。見てるこっちも不安に押しつぶされそうになります。何とか登りきってロープをセットしてもらい、さぁ登るぞ!!とアックスを構えた矢先。

「あれ?ロープが動かないぞ?」

そんなはずは無いのです。ロープを引く方向も支点も間違いなくセットしてあるはずですが、男3人で全力で引いても全く動かないのです。ダブルロープを1人1本持ってきていたので2セットありました。これはもう1回リードするしかないなぁと。。。
また別の先輩にお願いしました。私はビレイして先輩の帰りを待ちます。先輩も悪戦苦闘して必死に登ろうとしてくれましたが、やはりスクリューを刺しながら垂直の氷壁を40m登るのは簡単ではありません。

あと2、3メートルのところで腕が限界を迎えたそうで降りてきました。

「さて、中屋君ここからリードお願い!あとちょっとだから!!」

いやいやいや、と。
もうこの時点で登ってないけれども私の心は折れています。
(登れるわけねぇ。。。)
もちろん登る気で来てるし、登りたくないという訳では決してないのですが。サクッと登って時間をかけずにサクッと敗退しました。

さて、どうしたものかと考えていたのですがここで一旦お姉さまに登ってもらいます。

まさかのノーテンションで難なくトップアウト。どうやら何年か前に右からも左からもこの南沢大滝をリードで登っているとのこと。垂直の壁でも力んでいる様子もなく、むしろ余裕そうに登ってしまうタフさ。

自らの無力さ、いや、力の抜きどころがわからない。アイスの奥深さを学びなおしました。

しかしまたトラブル発生!?

お姉さまが一向に降りてこないのです。
下からは様子がわからないですし、朝はアプローチで体調がすぐれないと言っていました。滝上に向かって声を張り上げても応答がなく、さらに不安が募り最初のロープで登り返そうかと真剣に話し合ってた頃、遠くでかすかに「降ります。」と声がしました。

降りてきて様子を聞くと、滝の落ち口付近でロープが凍り付き、女性一人のパワーではなかなか外せなかったとのこと。リードしてもらい支点を作り、一人凍り付いたロープをはがして降りてきてくれた大先輩には頭が上がりません。

この後は何とかトップロープで一人何本か登りましたが、ちょっとのレストやエイトノットの待ち時間にも氷ついてしまう可能性があり、常にロープを出し引きする必要がありました。

ビレイもなかなか大変でロープが完全に凍結して氷をまとい、ビレイデバイスをガリガリ言わせながらロープを引くのにパンプしそうでした。

今回使用したロープはペツルのルンバとマムートのアルパインドライでどちらも8.0mm径の撥水加工済み。信頼に値するダブルロープなので、やはり-10℃以下という特殊な環境と氷の下を通る水流の染み出しや跳ねが凍結の要因なのではと考えられます。また、ロープが氷塊の下を通ってしまい半ばスタック状態になっていたことも考えられますが、とても貴重な経験が出来ました。

トラブルが頻発し実際に登った本数は少なくなってしまいましたが、貸し切り状態でフルで登ることができ満足度の高いアイスクライミングになりました。
私のスキルが大したことないと露呈してしまいますが、歳月をかけてでも必ずやリードでリベンジしたいと思います。

PROFILE

クライミング館 中屋 | Nakaya

クライミングギア、シューズのお悩みお伺いいたします!
高校時代に山岳部に所属し、登山に魅了されて早十余年。
気づけば夏はクライミングに沢登り、冬はアルパインにアイスクライミング等々。
フィールドにて得た経験や知識から、お客様ひとりひとりに合ったアイテムをご提案いたします!

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